マイクロスコープ講演会 20140709
足立区西新井駅近くのヒロ歯科クリニック院長の佐藤浩史です。
診療終了後にマイクロスコープ講演会に出席しました。演者は山梨県甲府市開業の山浦泰明先生です。山梨県開業の秋山勝彦先生という方を師と仰いでいるということでした。
普段の診療ではほとんどマイクロスコープ診療しているそうです。メーカー主催のセミナーということもあって、宣伝的な部分もありましたが(笑)、臨床的なことも多く非常に参考になりました。
<カリエス治療>
マイクロクラックというエナメル室内の小さな亀裂(10㎛=0.01mm)から虫歯になる話では、マイクロスコープで15倍拡大で確認できるような小さな亀裂に関する話題です。オキシドールをしみこませたスーパーフロスでコンタクト部分をきれいにしないと観察できないレベルです。
①エナメル質は削除せずなるべく温存し、象牙質カリエスを除去後、コンポジットレジンで内面からリペア。
②エナメル質の実質欠損は物性が同程度のセラミック(e-max)で修復するのが原則。コンポジットだと力がかかり辺縁漏洩するという考えです。
③接着セメントはIn、Onに関してはVariolinkⅡ(ivoclar)、クラウンはRelyX Ultimateだそうです。 トリモチ状のキャリアでセット、余剰セメントはマイクロブラシで除去し、ピンポイントで照射できる照射器で仮照射し(隣接面にあてない)、隣接面の余剰セメントを除去、マイクロ下で。
ただし、治療終了後はナイトガード装着が必要な点、咬合負担が過多な部分に関しての対応が?な点が補綴出身の私には感じてしまいました。
いずれにせよ、保険治療で同等のことは不可能であり、中途半端に応用すると良好な予後は見込めないでしょう。
<歯周病治療>
超音波チップで適切にポケット内をデブライドメントすることが大切。もちろん、マイクロ下で。ハンドスケーラーで過度にルートプレーニングするとセメント質がなくなり、硬組織再生が難しくなってしまう。
分岐部病変はやはり難易度が高いとのこと。エナメルプロジェクションは超音波のラウンドのダイヤモンドチップで削除し、除去。sffのバーで研磨。器具が入りにくいところをなくすということです。これをポケット内の剥離のみで正確にできるのか不明。個体的、部位的な歯肉の性状によって状況が大きく変わるのではないでしょうか?
秋山勝彦先生考案のマイクロ用の剥離子を使用しているらしい。販売会社などは聞いていないので知っている方がいたら教えてほしいです。
歯周治療の流れとしては、 初診→各種検査(EPP,口腔内写真など)→ペリオの話。ここで、デブライドメントやメンテナンスの話を説明。
→TBI→デブライドメントするときはScせずに行うとのこと。 Sc前に行うのはScにより歯肉が引き締まった状態でポケット内の処置を行うのは難しくさせるから。
マイクロ下のペリオ治療により、術前後で歯槽骨の回復が見られる症例を供覧した。にわかに信
じ難いデンタルが並んでいたが、ホープレスな歯に施してみるのは良いと思われるが、保険診療、自費診療の境界、保証の問題など、設定する項目は課題となるでしょう。
<CO2レーザー>
GCのセミナーなんで、お勧めのレーザーはCO2レーザーです(笑)。結合組織移植によるドナーサイトのレーザー処置、術野への術後レーザー処置などが解説された。小帯切除を伴う口腔前庭拡大についても積極的にレーザーを利用。
秋山勝彦先生考案のMGJの〝Go Home Technique″について紹介。GC CIRCLE第144号に掲載されている。いずれにせよ、マイクロ下での術式なので、肉眼下では不可能らしい。
★まとめ★
MORAインターフェイスの利点による直視による施術が可能であることを力説されていた。が、実際はミラーテクニックで行うことが出来ないわけではないと思われる。マイクロによる治療の可能性を感じることができた。が、やはりテクニックセンシティブな点もあり、研鑽が必要であることが再認識された。また、何をどこまでやれるか、保険治療と自費治療のすみわけ方などが大きな課題である。
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