足立区西新井駅近くのヒロ歯科クリニック院長の佐藤浩史です。

7/31に日本歯科大学生命歯学部にて東京都歯科医師会卒後研修、審美領域の歯周外科手術と再生療法を受講してきました。

まずは、日本歯科大学附属病院総合診療科 教授 仲谷 寛により、前歯部と臼歯部における歯周外科手術について講義がありました。
歯周外科の目的は①感染源の除去②形態の改善③歯周組織の再生という歯周外科に関する基本的な解説から始まりましたが、とてもわかりやすかったです。
補綴出身の私は、フラップの扱いには苦手意識がありましたが話を聞いて気がついたことは、昔から、この手の話になるとあんまり真剣に聞いてなかったみたいです(笑)。だからこそ、とても参考になりました。
以後、実習時の注意点も含めて記載してあります。

<ウィドマン改良フラップ手術> MWF
適応症が広く、オールマイティーかつファーストステップに最適な術式。頬側0.5mm舌側1.5mm程度で切除。骨膜にあてるように切開、歯間乳頭は削ぐように切開。MJGを超えないため、退縮しないと言われていて、歯間乳頭パピラも戻ってくるといわれている。

<歯肉弁根尖側移動術>APF
生物学的幅径、フェルールの確保のための臨床的歯冠長延長術(クラウンレングスニング)として応用される。生物学的幅径約2mmを確保するということは、その分歯槽骨を削合して充分な長さを得なければなりません。わかっちゃいるけど、実際行うときには短くなりやすいので、再認識しました。
根面露出やHysが起こりやすい点がデメリット。

歯周外科後に歯肉退縮を招く要因①炎症の改善②創傷治癒過程における組織の改善③手術による組織の切除。①②はしょうがないが必要以上に組織を挫滅させないデリケートな処置を心がける。③近年の審美的要求も踏まえて治療法を選択しないといけない。

MWFでは、内斜切開を加えるところは歯肉退縮につながる。そこで、
<歯間乳頭保存術>Papilla Presanation Technique
歯間乳頭の形態が維持されるため、審美性に優れる。ただし、歯間乳頭の幅が2mm以上、厚みも必要で幅が狭い症例は適応できない。歯間部などの骨欠損上に切開線がこないようにつかうこともある。
舌側歯肉溝から5mm程度離した半月状切開、メスを骨に垂直に。頬側切開時に調子よく歯肉溝切開を連続して加えていかないように注意!(実習でやっちゃいました)。
幅がないなどの部分は簡易型切開ということで、隅角部から斜めに切開する。歯間乳頭歯肉分離(剥離)はブーザーみたいな剥離子かスプーンエキスカで先端を骨面から離さないように丁寧に剥離。
切歯孔に注意するため、正中部は側方から歯肉弁を持ち上げるようにし、切歯孔を確認しながら剥離。正中部はまっすぐ根尖方向に剥離進めないこと!
歯根面がしっかり見えるように肉芽組織を除去。
内側性マットレス縫合:頬側フラップがさがりにくい。口蓋側外面から刺入、唇側は幅が広いときは水平で全体的に狭いときは垂直、斜めになることもある。縫合糸は乳頭部歯肉の内面を通っている。歯肉弁は抑え込まれず、歯間側に持ち上げられる。
外側性マットレス縫合:口蓋側外面から刺入。口蓋側内面から刺入し、外面へ。唇側歯肉弁外面から刺入。唇側歯肉弁内面から刺入し外面へ。縫合糸は、乳頭部歯肉の上を通り、口蓋側にて結紮。歯冠部歯肉内面に糸は通過しない。
ランプマットレス縫合:唇側歯肉弁外面から刺入。歯間部通し、口蓋側歯肉弁内面から刺入(ここまで単純縫合と同じ)。唇側に針を戻し、唇側歯肉弁内面から刺入(内側性マットレス縫合と同じ)。唇側にて結紮。口蓋側の歯肉は骨の方向に抑えられるが、唇側の歯間乳頭は持ち上げられる。

エムドゲインを用いた歯周組織再生療法について日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 沼部幸博教授より講義がありました。
局所麻酔は歯間乳頭を避ける。歯肉溝切開、隣在歯に縦切開。特に歯間部の切開には細心の注意を払う。時間をかけて肉芽組織の除去、SRP、エッチングについては、海外では根面処理剤PrefGelというEDTAがあるのだそうだが、
日本では、リン酸エッチング15sec~20sec、やりすぎは禁物。スポンジンなどを置いて流れ出ないように一工夫。エムドゲインジェル塗布部位には唾液や血液が入ってこないようにする。縫合糸をあらかじめ通しておくのもあり。
軟組織の治癒が早い傾向にあるが、抜糸は2~6週後。固定も必要(講義では語られていないが、井川先生の情報)。この間EMDは生理的条件下で凝集、沈殿する。
オペ日から6週後(抜糸時)までの間は術部位にブラッシングやフロスの使用を禁止する。口腔内の消毒薬の使用と、プロケア。
エムドゲインをはじめとする現在の再生療法では劇的な効果は期待できない。再生療法は次の段階を待っている状態。
併用法は適応外のため、勧めていないが、バイオスとの併用は有効との海外の文献も!?

GTR法については、総合診療科科長小川智久から講義がありましたが、さらっと基本的なことだけでした。省略します。

垂直懸垂縫合変法(Modified mattress suture):内側性垂直懸垂縫合を行い、口蓋側にわずかにループを残しそこに針を通す。それにより、歯肉弁がつりあがり、さらに口蓋から歯肉弁の接合部を押さえつけることが可能になる。

頭がペリオモードのうちに歯周外科の書籍で復習&縫合などの自主練習が必要かな?時間が…

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